要点まとめ
- お金は、その人にどれくらいの信用があるかを計る尺度であり、信用があればあるほど、多くのお金を借りることができます。
- 創業資金の融資を受ける場合、資金繰りを考慮したしっかりとした事業計画を描くことができれば、信用を得られ、資金を借りることができます。
- ただし、一般の人にとっては多くの場合、「信用情報=過去の実績」の意味です。「延滞しない」「給与がある」などが信用情報として評価されます。
はじめに:お金って何だろう?
今日は、君がふだん何気なく使っているお金について、改めて考えてみることにしよう。
まず質問してもいいかな。
君は、お金についてどんなイメージを持ってる?
どれもいい答えだね。みんな正解だ。
大事なのは、お金にはいろんな性質があるということだ。
だから、人や状況によって見え方や捉え方が変わるんだ。
今日は、「お金と信用の関係」について話そう。
え?そもそも信用って何か?
じゃあ、そこから説明しよう。
お金は、「信用の量」を計る尺度
信用とは、誰かに信じてもらうことだ。簡単だね。
では、信用の量とは何だろう?
誰かにどのくらい信用してもらえているか、ということなんだが、
さて、君ならどうやって信用の量を計る?
友達だから信用する?好きな人だから?家族だから?
世間一般の考え方では、どのくらいお金を持っているかがそのまま信用の量になるとされているんだ。
「お金の量」イコール「信用の量」だ
たとえばなしで説明しよう。
君はいま、全財産100円持っている。
そして、友人から10円貸してほしいと言われたとする。
つまり、君が銀行役で、友達が事業主役だ。
君は友人に、「何に10円使うの?」と聞く。
友人は、「その10円でうまい棒を買うんだ」と答える。
さあ、君ならこの友人に10円貸してやるかい?
きっと、君はこの友人に10円貸したりしない。
なぜなら、こんな使い方では貸した10円は絶対に返ってこないからだ。
ではもし、君が「何に10円使うの?」と聞いたとき、
「定価20円のチロルチョコを10円で特売してるお店を知ってるんだ。そこでチロルチョコを買って、別の友達と公園で遊んだあとお腹が空いたところを見計らって20円で売るつもり。そしたら君に10円返して、残りの10円で自分用にうまい棒を買うよ。」
と言われたら、貸そうと思う?
最初よりはグッと貸す気が起きるよね。
返済計画があるから、貸す気が起きる訳だ。
でも、この程度の話では、やっぱり君はこの友人に10円貸したりはしないだろう。
なぜなら、この返済計画では、君が10円貸すという行為は、君にとってリスクでしかないからだ。
運よく友人の計画がうまくいっても、君の全財産は100円のままだ。
友人がチロルチョコの仕入れや販売に失敗したら、君が貸した10円は返ってこないだろう。
もし、その友人が十分に賢かったらこう言うだろう。
「君に利子をつけて15円返したあと、自分用に5円チョコを買うよ。」
これなら、君は10円貸すことで15円を手に入れる可能性が出てくる。
貸した以上に戻ってくる可能性があるのだから、こういう友人には10円と言わずもっと貸したくなるよね。
たとえばなしが長くなってきたが、最後にもう1パターン考えよう。
もし、君がその友人のことを大ウソつきだと知っていたとする。
嘘つきな友人に、君は10円貸すかい?
当然、貸さない。
「そもそも20円のチロルチョコを半額の10円に値引きするような店があるなんて嘘に決まってる。誰が騙されるものか。」
と思うからだ。
これで、お金の量が信用の量だということがイメージできたかな。
このはなしは、実際に会社や事業をゼロから創り出そうとしている人が、創業資金を調達する場合のことをたとえたものだ。
創業社長が、公庫やベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなどからお金を調達するときのイメージかな。
お金を貸すといえば銀行じゃないの?
お金を貸すといえば銀行、そう連想するかもしれないが、実は、銀行は会社の創業資金を貸してくれたりはしないんだ。
なぜなら、銀行は過去の実績を見てお金を貸すからなんだ。
企業が定期的に公表している財務諸表(=会社の成績表)を見て、お金を貸すかどうかを決めるのが銀行だ。
だから、まだ会社がない状況では、当然、会社の成績もまだないから、お金を貸してもらえない。
では、銀行は誰にお金を貸しているのかと言うと、売り上げや利益が伸びている会社、過去に貸したお金をきっちり返している会社、要するに過去の実績がある会社なんだ。
だから、もしお金を借りにきた人がモノスゴい経営者で、すでに100回10億借りて返した実績があったとしたら、銀行はその事実だけで信用してお金を貸すに違いない。
お金を持っているということは、それだけの信用を社会から集められた、という意味になるからなんだよ。
信用のカタチは様々
信用のカタチは、事業計画や過去の実績に限らず、実に様々だ。
お店で何か買うとき、お客さんはその商品を信用しているから買っている。
商品のブランドが信用されているということだ。
クレジットカードを使って買い物する時、商品代金をクレジット会社が一時的に肩代わりしてくれる。
この人なら来月お金を支払ってくれると信用しているから肩代わりしてくれる訳だ。
アパートの賃貸契約をするのにも信用が必要だ。
不動産業者や大家さんに対して、毎月継続的にお金を支払い続ける能力があると信用されないと、賃貸契約を結ぶことはできない。
もし、電気代や水道代を滞納していたことがあったり、収入がない、または不安定だと、契約前に行われる信用調査でNGが出てしまう。
もし、手っ取り早く信用を得たいと思うなら、サラリーマンや公務員になって、毎月の光熱費や通信費の支払いを必ず行うようにすればいいだけだ。
上場企業のサラリーマンや公務員が社会的な信用があると見なされるのは、毎月決まったお給料が振り込まれるから。
それに、国や大企業はそう簡単になくなったり倒産したりしない。
だから、そこで働く人たちに毎月お給料が振り込まれることは誰からも信用されるんだよ。
圧倒的に大きな信用を得るには、自分の限界までお金を借りよう
より大きな信用を得たいのであれば、お給料という安定的な収入だけに頼るのではなく、自分の限界までお金を借りることを考えてみるのが効果的だ。
お金は信用を計る尺度だから、大きなお金を持っているという事実はそっくりそのまま大きな信用を持っているということを意味するんだ。
もちろん、借りたお金は期限までに返さなければいけない。
だけど、きっちり返済することができれば、その実績がそのまま信用になって、より大きなお金を借りることができるようになるんだ。
逆に、借りたお金を返さなかったら信用を失う。
一度でも、返済期限を過ぎてしまったり、銀行引き落としができなかったりすると、ブラックリスト入りしてしまう。
このブラックリストは、すべての金融機関がリアルタイムに情報共有しているので注意が必要だ。
自分の信用情報に傷がついてブラックリストに載ってしまうと、どこからもお金が借りられなくなってしまう。
携帯代や光熱費、クレジット代金など、毎月の支払いは何があっても必ず引き落とす。
これだけは絶対に守ってくれ。
まとめ
お金は信用の量を計る尺度だ。
ゼロから信用を得るには、しっかりした事業計画が必要だ。
だけども、多くの一般の人にとっては、毎月の引き落としがしっかりできているか、公務員やサラリーマンか、の方がずっと身近で重要なことかもしれない。
もし、圧倒的に大きな信用を得たいなら、自分が返せる限界までお金を借りることだ。
お金を返すという実績がさらに大きな信用を生む。